「ギャー!!」地面から引き抜かれた瞬間、鼓膜をつんざくような断末魔の叫び。それを聞いた者は発狂し、最悪の場合は死んでしまう。ファンタジー界で最も有名な植物、マンドラゴラ(マンドレイク)の伝説は、実在する植物の奇妙な形状から生まれました。
なぜ悲鳴を上げるのか?
根が人の形をしている
実在するナス科の植物マンドラゴラは、根が二股に分かれており、まるで人間の足のように見えることがあります。古代の人々はこの奇妙な姿を見て「これは大地から生えた人間のようなものだ」と考えました。大地から無理やり引きはがされる痛みで叫び声を上げ、その声に呪いが宿ると信じられたのです。
命がけの採取方法
犬を犠牲にする残酷な知恵
悲鳴を聞かずにマンドラゴラを手に入れるため、古来より特殊な採取法が考案されました。
- マンドラゴラの根元を掘り起こす。
- 根に紐を結び、もう片方を腹を空かせた犬の首に結ぶ。
- 採取者は遠く離れて耳栓をし、犬にエサを投げる。
- 犬がエサを追って走り出すとマンドラゴラが抜け、悲鳴を聞いた犬はその場で死ぬ。 この方法により、人間は無傷で貴重な根を手に入れることができたと言われています。
危険な万能薬
実在する成分と効能
伝説だけでなく、マンドラゴラは実際に強力な幻覚作用と麻酔効果を持つアルカロイドを含んでいます。古代ギリシャやローマでは手術の麻酔薬として使われたほか、不妊治療薬や媚薬としても重宝されました。しかし、量を間違えれば死に至る猛毒でもあります。「薬と毒は紙一重」を象徴する植物なのです。
現代作品での描写
ポップでかわいいマスコット?
『ハリー・ポッター』シリーズでは、叫び声は上げるものの、まだ赤ちゃんの段階なら気絶する程度で済むという描写がなされ、一気に知名度が上がりました。多くのゲームでは、地面に埋まっている敵として登場し、引き抜くと状態異常を撒き散らす厄介者として描かれます。
まとめ
人の形をした根、致死の叫び声、そして万能の効能。マンドラゴラは、植物という静かな存在に潜む「魔力」を人々に想像させ続けてきた、魔法植物の代名詞です。