人間はどこまで長く生きられるのか。日本書紀には、なんと景行・成務・仲哀・応神・仁徳の5代の天皇に仕え、300年以上(一説には360年)も生き続けたというとんでもない大臣が登場する。それが武内宿禰(タケシウチノスクネ)である。
国家の守護者
神功皇后の補佐
彼の最大の功績は、仲哀天皇の急死後、身重の神功皇后を補佐して三韓征伐を成功させたことである。 皇后が産んだ応神天皇(八幡神)を抱きかかえる姿で描かれることが多く、皇室の守り役としてのイメージが定着している。
盟神探湯(くかたち)
晩年、弟の讒言によって反逆の疑いをかけられたが、煮えたぎる湯に手を入れる神明裁判「盟神探湯」で見事潔白を証明したという劇的なエピソードも残っている。
有力豪族の祖
蘇我氏・葛城氏のルーツ
武内宿禰は単なる長寿の老人ではない。彼は蘇我氏、葛城氏、巨勢氏、平群氏など、後のヤマト政権を支える有力豪族たちの共通の祖先とされている。 つまり、彼という存在自体が、古代豪族たちの正統性を保証する「偉大なる始祖のシンボル」だったのだ。
【考察】一人の人間か?
世襲の称号説
300年という寿命は生物学的にあり得ないため、「武内宿禰」とは個人の名前ではなく、代々大臣を務めた一族の長が受け継ぐ**役職名(称号)**だったのではないか、という説が有力である。 しかし、そんな野暮な分析を吹き飛ばすほど、彼の「伝説の忠臣」としてのカリスマ性は凄まじい。
まとめ
武内宿禰は、かつて日本の紙幣(1円、5円など)の肖像にも採用された、日本史上最も有名な「スーパーおじいちゃん」である。